台湾軍の戦車数は中国の侵攻軍よりも多いが、中国が港を占領すれば逆転

2021年8月3日 (火) 13:15

台湾軍の戦車
※写真はイメージです。

中国・台湾関連のニュースです。Forbesから。

中国の台湾侵攻作戦が実施された場合、上陸時の戦車が重要な役割を果たすことは間違いないでしょう。最も早く、多くの戦車を配備できたほうが早い段階での戦局を優位にすすめられます。台湾軍は1,200台の戦車を分散して、配備しながら中国軍の砲撃に耐えるようにしています。その後残存兵力を集中させて台湾における中国の上陸予定地の陣地を破壊する計画です。中国人民解放軍は台湾の反撃を打ち破るために自軍の戦車をできるだけ損害を少なくして上陸させようとする。しかし、言うは易く行うは難しです。

圧倒的に戦車を載せ上陸させるための船舶が足りないのです。戦力面でいうと、中華民国(台湾、以降台湾と表記)陸軍はアメリカ製のM-60A3を80両、CM-11を450両、CM-12を250両、合計1200両の主力戦車を保有していると言われています。CM-11は、M-60の車体にM-48の砲塔を改造したもの。CM-12はM-48にCM-11と同じ改造を施した砲塔を搭載している。これらの戦車はお世辞にも最新鋭とは言えません。古く、最も新しいものでもM-60が1970年代に製造されたものです。

近年台湾はアメリカから新しいM-1を108台13億ドルで購入して、順次旧型の戦車の入れ替えを図っています。しかしそれでも予定は2023年の配備で、数百台の戦車が配備されたとしても、残りの戦車は老朽化したものをメンテナンスして利用しなければなりません。しかし、性能面での劣勢はあまり問題にはならないかもしれません。というのも台湾陸軍の戦略方針では、上陸した中国軍に対抗するために装甲部隊が必要とされていますが、中国の第一陣に対して火力・総数的には優位にたてる、との事です。人民解放海軍(People’s Liberation Army;PLANavy・・・以下PLANと表記)の水陸両用部隊はPLANの水陸両用部隊は、3隻の075型強襲揚陸艦、8隻の071型揚陸艦、64隻の073型、074型戦車揚陸艦を合わせても、379両の戦車しか搭載できない。

戦車揚陸艦(LST)は戦車を搭載し艦首のランプ(揚陸艦の艦首にある可動式のスロープのようなもの)から直接砂浜に上陸させる。強襲揚陸艦と揚陸ドックにはエアクッション式の揚陸艦が搭載されており、それぞれ戦車を1台ずつ上陸させられる。しかし、いずれにしても一度に上陸可能な戦車は台湾軍の3分の1です。それも全艦隊が侵攻作戦に動員され、台湾海峡を渡る際に無傷で、という条件付きになります。

周知の通り2国間の緊張の緩和は難しく、摩擦が生じるのは避けられません。想定される決戦日に、台湾の全戦車が搭乗員を含め整備されているわけではないでしょうし、同時に中国軍の砲撃でいくらかの損害がでるのは想定できます。中国海軍は海峡を渡る際に台湾の機雷や対艦ミサイル、魚雷等で大きな損害を被るでしょう。また、突破した戦力も、崖や待ち構えている陣地からの集中砲火でさらに被害を受ける事が考えられます。

要するに台湾軍は保有する1,200台すべてを上陸地点に投入することはできず、中国軍もまた、379台の戦車すべてを投入する事ができない事になります。中国軍が上陸作戦で海岸に集中していれば、最初の数時間の戦闘では台湾軍が戦力面で優位に立つことができるだろう、とバージニア州にあるProject 2049 Instituteのアナリスト、イアン・イーストン氏は述べています。

米国防総省はPLANの水陸両用船を数え、2020年版の中国軍に関する報告書の中で、大規模なLST建設計画がないことは、北京が本気で台湾を侵略しようとしていないことを意味すると判断しました。しかしここで問題になるのが、戦車の上陸方法はLSTだけではない、という事です。PLAは砂浜上陸作戦に固執はしないでしょう。伝統的な砂浜上陸作戦では火力的に不利になると想定して、台湾の港を公然もしくは秘密裏に支配して、商業用船舶を使って軍隊や戦車等を輸送する間接的な侵略作戦を検討しています。この戦略はリスクは高いですが、その反面多くの戦車をより速く移動させる事ができます。PLANの水陸両用艦艇は合わせても400台以下の戦車しか輸送できませんが、商業フェリーやロールオン/ロールオフ船の船団は、戦車を含む数千台の車両を輸送できる可能性があります

中国では民間船舶を軍が戦時には徴用できるという法律があり、侵略が目的の作戦の場合、もっとも有力なのがフェリーかもしれません。渤海フェリーグループだけでも11隻のフェリーを運航していて、1隻あたり200~300台の車を運べます。戦車は確かに普通の車よりかさばりますが、空間的に考えれば、「これらの船はPLAの96式や99式の主力戦車を簡単に積めます」と、アナリストのコナー・ケネディは米海軍大学校の2019年の報告書で指摘しています。

ただし、フェリーはあくまで商業用に製造されているので、戦車を輸送する場合には補強が必要になるかもしれない、とケネディは指摘しています。しかしそれでも、それはあまり問題にはなりません。PLAは、中国船籍の民間船を積極的に改造しており、軍事的役割を果たすのに適した頑丈なスロープなどを新たに備えている。つまり、結論を言えば台湾の戦いで起こりうる激しい戦車の衝突では、海岸線での戦闘にとどまるならば、防衛側のほうが装甲面で有利だということです。

しかし、PLAが無傷の港を占領し、民間のフェリーを海峡に運ぶことに成功すれば、優位性は一気に侵略者に移るでしょう。戦局の初期、局地的な戦闘を考えれば台湾軍が有利だが、それをクリアすれば物量にまさるPLAが優勢になる、という事ですね。

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